寺子屋”ZEN”は新潟県三条市の工具メーカーに勤務40年の丸山善三がお届けするWebメディアです。

田中角栄【闇の将軍 四部作】演劇鑑賞

2月に入った。1年で最も寒い大寒を迎える。
当地、新潟も年初から降雪があった。この程度なら雪国新潟では例年通りとしている。

ところで、年初元旦の夕刻16時10分に発生した”能登半島地震“は、
現在お亡くなりになられた方が、ゆうに200人を超えてしまった。
更に地震発生と火災が重なった激震地区の輪島市では、100人を超えた。
現在尚行方不明の方々に対して懸命な捜索が続けられている。
被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げると共に、一歩一歩でも通常の生活に
近づけますよう心からお祈りいたします。

さて、年明けの1月13日新潟市内に住む友人に誘われ、田中角栄四部作 「闇の将軍」を観劇した。
(劇団:JACROW、中村ノブアキ代表)四部構成になっており、
午前11時の開演から午後8時過ぎまで途中の休憩をはさんで延、7時間に及ぶ劇を鑑賞した。

普段観劇することが少ない私も、四部作の長編の観劇に
「最後まで集中して見られるかな…」と不安の心境であった。
しかしながら、どうしてどうして、これがなかなか良かった訳である。

観劇特有の場面の展開性が早く、役者さん演じる臨場感が映画等とは全く違う。
役者さんの熱演もさることながら7時間の長時間を感じさせないストーリーの展開でもあった。
ストーリーは、田中角栄出身の故郷(新潟県西山町)の青年期が、一攫千金の夢見る場面から
始まった。次男角栄を想う、母フメ役も印象的であった。長時間の公演は、
角栄が75歳で亡くなるまでの政界の裏舞台の場面を中心に展開されていた。
夜の料亭での秘密裏の会談のシーンや、自宅に戻った時の何気ない家族との
会話の場面などである。今でも語り草になっている角栄さんの演説で、裏日本新潟の雪の
ハンディをなくすための実際語った演説である。「三国峠をダイナマイトで吹っ飛ばせば
越後に雪は降らない。そしてその土を日本海に運べば佐渡と陸続きになる」(初出馬時の演説)

この場面も主役(狩野和馬氏)の熱演が印象的であった。

場面変化の濃淡も演劇だから出来る技であろう。1972年(昭和47年)の
日中国交正常化達成と日本列島改造論発表を頂点として、4年後のロッキード疑惑、
それから9年後には脳梗塞に斃れる。劇場シーンは、政治家を志した明るい場面から
グレーに変化し徐々に闇へと入っていく。ラストシーンは、角栄さん独特の右手を上げて
歓声に応える姿で幕が下りた。そしてスタンディングオベーション、カーテンコールで
全役者さんが揃い、一斉に声援に応えるシーンは劇場公演ならでは。
座り続けたお尻の違和感も吹き飛んだ。

今年は田中角栄没後31年となる。
直近では、氏の著作『日本列島改造論』復刻版が発刊されて話題になった。

越後の僻地の次男坊が政治家を志し上京。
“田中角栄”は、国民的政治家として生涯を地元のために粉骨砕身尽くした。
派閥の存続で右往左往している今の政治家の方々が、なぜか滑稽にも見える。


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