寺子屋”ZEN”は新潟県三条市の工具メーカーに勤務40年の丸山善三がお届けするWebメディアです。

日本人とドジョウ

ドジョウについて その①

2月(如月)に入った。大寒を過ぎ寒さの真只中である。

当地では、毎年2月2日に本成寺(法華宗陣門流本山)で節分の鬼踊りが開催される。
節分のこの行事は、日本三大鬼踊りの一つでもある。さて、新潟県では、遠くシベリア
から飛来した白鳥が盛んに見られるシーズンでもある。白鳥飛来地である、水原町の瓢湖
(ラムサール条約登録湿地)には、毎年11月から3月まで白鳥が飛来する。
時に5000羽を超える。私の住む(三条市)でも「白鳥の郷公苑」があり、
毎年400羽近い白鳥が飛来する。今の時期は、上空を見上げると採食に出かける白鳥が
自宅から観察される。毎朝、白鳥の鳴き声が、トランペットのように奏でながら聞こえてくる。

さて、今回はドジョウ(泥鰌)についてお話をしたい。ご興味ある方もいらっしゃるだろう。
日本列島には、南北に30種以上の多種多様なドジョウが生息している。かれらは、数千万年の
長い歴史の過程で、進化をとげながら今なお生き続けている。古くからドジョウは、日本人に
とって身近な生き物でありその関係は、幾つかの童謡にも表れている。馴染みの深い、二つの
童謡を示したい。

「どんぐりころころ」の唄   大正期の唱歌

どんぐりころころ どんぶりこ お池にはまって さあ大変

どじょうがでてきて こんにちは ぼっちゃん一緒に 遊びましょう

「どじょっこふなっこ」の唄   秋田に伝わる民謡を男声合唱用に採譜

はるになれば じがこ(氷)もとけて どじょっこだの ふなっこだの

よるがあけたと おもうべな

古くから子供達に歌われた懐かしい童謡であるが、若い人もどこかで聞いたことがあると思う。
随分昔の話になるが、私の幼い頃、母親が「どんぐりころころ」口ずさんでいたことを思いだした。
ドジョウは、コイ目に属して晩春から初夏が繁殖期で、2年をかけて成長する。現在でも日本人に
とってドジョウ料理として親しまれている。それはかつて江戸文化の中に入っていた。
東京の下町では今でも専門店が営業を続けている。
ドジョウを食す文化も全国各地に存在していた(金沢が有名)近年は、環境の変化などに
よってその生息数も減少の一路で、一般家庭で食べられる機会もめっきり少なくなっている。
しかし、食材としてコンドロイチンやコラーゲン等の健康効果が注目されつつある。
から揚げ、柳川鍋、ドジョウ汁、佃煮等、その料理法もいろいろある。カルシウムが、
ウナギの9倍もあり、亜鉛、ミネラルも豊富でドジョウ一匹にうなぎ一匹の栄養価があるとも
いわれている。新潟県はドジョウとの関係が深い。新潟県はその県名が示すように、至る所
に“潟”や“沼地”が多く存在していた。それらは、ドジョウの格好の生息地でもあった。
今から100年前の関東大震災の時には、手軽なタンパク源として、連日東京へドジョウを
運んだといわれているドジョウ列車なるものがある。また、その栄養価は唯一佐渡に生息
している特別天然記念物でもあるトキ(朱鷺)の餌として重用されている。

さて、地球上の環境の変化は人間の知らないところから徐々にむしばまれてゆく。
次回は、その二として、ドジョウと環境、生態系の関連について取り上げてみたい。

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