寺子屋”ZEN”は新潟県三条市の工具メーカーに勤務40年の丸山善三がお届けするWebメディアです。

1人の作家との出会い 作家「吉村昭」のこと

新しい年の幕開けです。2025年(令和7年)巳年。
改めて新年あけましておめでとうございます。このブログも2022年12月よりスタート
しましたので今年で3年目となります。(まだまだ続けますよ)
今までお付き合いいただいた読者の方。
今後とも宜しくお付き合いをお願いする次第です。

さて、昨年の年初めには、“人生100年時代”をキーワードとして
“一生修得““終生実行”“生涯の土台造り”を3本の柱として書いていけたらと掲げた。
これらのスタンスは変わらず続けていきたいと思います。

今年の年初めは、私が生涯の糧として常に座右に置いている書籍(作家)をご紹介します。
それは、作家「吉村昭」その人であります。私自身、40歳まで読書習慣はほとんど無いに
等しく芥川賞や直木賞、他に受賞し話題になった作品を稀に読む程度であった。
そんなある時、市内の図書館の全集コーナーで偶然『吉村昭自選作品集』なる作品に
目が留まった。勿論吉村昭自身の名前も知らなかった。それらは新書で誰も
手を付けていない綺麗に装丁された全集であったことから「読んでみようか?」
ということになった。そして、一作家の新しい全集を読める期待感を抱きながら早速
第一巻を借りることにした。この全集は、ジャンル別に各巻が構成されて、
エッセイの他、記録文学、歴史文学、更には動物を扱った文学作品もあり、
氏の作品の多様さを知ることになった。結局は、全15巻をすべて読み切った。
私がこれほどまでに読書に没頭したのは初めてである。
作家吉村昭の魅力は、何処にあるのだろうか?
氏の作品は、スポットライトが当たっていた人間を描いてはいない。
むしろ、どうしようもない状況に置かれた実在した人物を描いている。
漂流した人物、脱獄を繰り返す無期刑因、全国を逃げ回る蘭学者等である。
彼らは、逆境に抵抗しながらもなんとかして生きようとしている。
氏の作品を読み進めていくと氏の死生観が感じとれたりもする。
本物の作家達は、自らの人生観を作品に反映させている。

次に大まかに吉村昭のプロフィールを書いてみる。

吉村昭は、1927年(昭和2年)東京・日暮里生れ。
学習院大学中退。妻である作家津村節子は同じ大学。
1966年(昭和41)年『星への旅』で太宰治賞を受賞。同年発表の『戦艦武蔵』で
記録文学に新境地を見出した。『関東大震災』などにより、1973年菊池寛賞を受賞。
以来、現場、証言、史料を周到に取材し、緻密に構成した多彩な記録文学、
歴史文学の長編作品を次々に発表した。主な作品に
『ふぉん・しいほるとの娘』(吉川英治文学賞)『冷い夏、熱い夏』(毎日芸術賞)
『破獄』(読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞)『天狗争乱』(大佛次郎賞)等がある。
更に映画化された作品に、『桜田門外の変』『海も暮れきる』等がある。
生涯369編の作品を遺した。2006年(平成18年)死去。

私は現在「吉村昭研究会」の文学誌と「越後文学」という地元新潟県三条市の
文学誌との二つの文学会に所属して、それぞれへ年数回寄稿している。
現在、会社を離れた生活の自身の張り合いはそんなところにあるかもしれない。
是非皆さんも書店、図書館等、本に親しむ機会をつくられたらいかがであろうか。
きっと自分に合った作家が見つかると思う。

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