国際見本市見学 -ジャパンインターナショナルシーフードショー -
8月も23日も過ぎると時候の挨拶は「処暑の候」となる。
24節気では、処暑になると暑さは和らぎ、秋に向かうとある。歳時記上では初秋に入る。
しかしながら残暑で蒸し暑さは続く、更にお盆からの強烈な台風が日本列島を襲う。
台風10号は、九州上陸後もゆっくりとした進路で各地に暴風雨による被害が報告されている。
一方当地(新潟県三条市)では、フェーン現象による熱中症警報の発令が続く。
正しい情報を聞いて安全な場所の確保を怠ってはならない。
くれぐれも皆様お気を付けいただきたい。
さて、私は、8月21日から23日まで東京ビッグサイトで開催された
「第26回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」を見学した。
当展示会は、おさかなに関係するあらゆる企業が出店する
日本を代表する総合的な見本市で海外130社を含む630社が出展した。
私も今まで金属加工(作業工具の製造・販売)の分野に身を置いていただけに
シーフードの分野は、見るもの聞くものが新しく興味を引くものであり、
新鮮な展示会見学となった。宮城県や鹿児島県等水産品が豊富な各県のブースも
試食会を伴って人だかりができる。ノルウェーやフィンランドなどの水産国も大きな
ブースでPRしていた。会場では併せて魚に関しての興味をそそる展示会が開催されていた。
例えば「フィッシュネクスト技術展」では、漁場環境の変動、漁業者の高齢化や
人手不足等の問題に対してAI、IoT、ロボット技術を使っての省力化による最新技術、
アイデアが満載されている。更に、「国際水産養殖技術展」では養殖ブームの中、
海面・陸上養殖に於ける生産性の向上、付加価値の創出を可能とする様々な設備や
技術を紹介している。更に「鮮度流通技術展」では、鮮度保持に係る冷凍・冷蔵技術、
解凍技術、様々な技術を紹介している。また、特別展示として
水産養殖と水耕栽培が融合した(アクアポニックスと呼ばれる)
次世代型の一次産業に関する最新情報のコーナーが注目されていた。
一概に第三次産業としての水産業の言ってもいわゆる食として
魚(おさかな)に関わる範囲は、水産加工品を始めとして調味料・食品添加物、
水産加工関連装置、冷蔵機器、食品衛生管理機器、水産市場近代化技術、
厨房設備・調理器具、寿司ビジネス、陸上養殖・海面養殖技術…等広く多岐にわたる。
興味を引いた内容をあげてみたい。先ずは「活魚」の技術である。
その中の一つは、冷凍せずに生きたまま弱らせることなく低コストで
遠方の目的地まで送り届ける技術である。そこでは、輸送ボックス内で一時的に
水槽内の魚のストレスを減らす工夫が成されていた。次に陸上養殖の技術である。
養殖の方法には、実際の海を仕切って水槽にする海面養殖と、陸上に大きな設備を作って
養殖をする陸上養殖がある。既に陸上養殖に関しては、ヒラメやアワビ、車エビ養殖等、
比較的高級食材に実証されているが、デメリットは、高額な初期投資である。
その対策は、餌やりのコストをAIで駆使して自動化し効率アップを図る取り組みである。
それは自動餌やりシステムを開発し、餌やりのコスト削減のための取り組みや
酸素発生装置の改良等、さまざまなコスト低減策である。更に陸上に上げることにより
飼育水槽の魚の様子をカメラでチェックして画像解析をすることも可能である。
最後は、新たな発見をした内容である。それは、鮮魚を加工する際のいわゆる
“魚をさばいて開きにする”開く機械の種類の豊富さとその高い技術力である。
ご存知のように魚をさばく作業は、熟練した多くの作業者を使う。実際は完全な
機械化が難しいとされてきた。基本は、中骨取り開きと三枚おろし加工であるようだが、
今回は不可能とされた20g程度のドジョウを開く機能や、斜めにスライスして
お刺身にする機械も紹介されていて金属加工出の私も初めて見る機械であった。
ジャパンインターナショナルシーフードショーは3日間の魚に関した展示会期間であった。
私はスケジュールの関係で1日だけの見学であったが、価値ある有意義な展示会だった。
来年は、更に時間の余裕をもって見学をしたいと思う。