大相撲ロンドン場所
心・技・体 の美
大相撲のロンドン公演が、イギリスロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで、10月15日から19日までの5日間開催され、盛会のうちに全日程を終えた。当公演は、ロイヤル・アルバート・ホールの150年記念事業の一環として開催され、1991年以来、34年ぶり2度目の開催となった。5日間合計で観衆約2万7000人を動員、ロンドンっ子を魅了した。
1500年を超える歴史を持つ大相撲は、力士が土俵で繰り広げる競技性のみならず、独自の形式や儀式を通じて日本文化を内外に伝達してきた武道でもある。本公演は、その伝統と技術を世界的な劇場の舞台で紹介する機会となり、英国の観客にとっては日本の国技を間近で体感できる貴重な場となった。相撲は、近年国際的な人気が高まっている。日本の国技として「日本文化と伝統の融合」であり、“心、技、体”、格闘技本来の力強さがある。さらに “礼に始まり、礼に終わる” ”終始相手を尊重する“ など、神技としてのその神秘性は、外国人には奥深い魅力を感じさせるのである。奇しくも私は、小学校3年の秋に剣道の道場に通い始めた。当時人気漫画「赤胴鈴之助」に触発されたものである。高学年になり昇段審査を受けるにあたり師範の先生より繰り返し“心、技、体” の大切さを教わったものである。いまにして思えば、「心技体」は、身体が発育し、体力があり、高い技術を身に付け、心が落ち着いていることではある。そして、それぞれの要素が満たされた状態とその理想形を指す言葉を示している。この言葉は日本古来から伝わる武道にゆかりのある言葉でもある。これは、日本人が大切にしてきた大和魂の精神を尊重し、仕事でも学問でもその真価を発揮できると言われている。日本は世界のどの国よりも中庸やバランスを重視してきた。そのため、何かに突出していることを良しとするのではなく、すべてにおいて高いバランスが取れていることを良しとする慣習がある。これは「心技体」という言葉が重要視されている所以でもある。
いずれにしても今回の大相撲ロンドン公演の大成功は、私たち日本人にといっても喜ばしいニュースである。聞くところによると来年6月には、ヨーロッパで日本文化、芸術に関心の高い、フランスでの興行も計画されていると聞く。
一時低迷した大相撲も若い日本人力士の活躍も加わりこれからさらに大きく盛り上がっていくことであろう。今月から大相撲九州場所(11月場所)が、始まる。大いに日本の国技、相撲を楽しんでいただきたいと思います。
